なぜ龍成塾は「防具付き空手」なのか ―“ごまかしの効かない”稽古
空手と一口に言っても、その中身は道場ごとにまるで違います。寸止めか、フルコンタクトか。防具をつけるのか。野球とソフトボール、テニスと卓球ほどの差が、同じ「空手」の中にあります。これから空手を始める方には、ぜひこの違いを知った上で、自分に合った空手を選んでいただきたいと思います。
龍成塾は、防具付き空手を主軸にしています。防具付き空手では、顔面への攻撃が認められます。寸止めのように直前で止める必要はなく、フルコンタクトのように顔面を除外することもありません。防具を介してではありますが、打撃は実際に相手に届きます。
ここに、私が防具付き空手を選ぶ理由があります。打撃が届くということは、ごまかしが効かないということです。正しい距離で、正しいタイミングで、正しい身体の使い方ができていなければ、技は通用しません。技の原理が真正面から問われる環境だからこそ、原理を鍛える意味があるのです。
私は、和道流の寸止めから始まり、顔面ありのフルコンタクトを経験し、防具付き空手の試合に出てきました。それぞれのルールの良さと限界を、自分の身体で知っています。その上で、実戦性と安全性を同時に追い求めるなら、防具付き空手が現時点で最も理にかなった選択だと考えています。
そして防具には、もう一つ大切な意味があります。痛みと向き合う経験を、安全な範囲で積めるということです。打たれれば痛い。その痛みを通じて、「自分が打てば、相手も痛い」という当たり前の事実を、頭ではなく身体で知ります。ただし、「空手をやれば優しい子になる」などと単純なことを言うつもりはありません。痛みの経験が確実に育てるのは、もっと地味な力――打たれて頭が真っ白になりそうなときでも、構えを崩さず次の一手に移れる「自分を失わない力」です。
